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2025年9月2日

次世代の道路舗装技術で、社会課題に立ち向かう

#TAISEI's NOTE

福島県田村市に建設された国内民間企業初の「舗装のテストコース」
福島県田村市に建設された国内民間企業初の「舗装のテストコース」

文:くらしと街のコンシェルジュ編集部

みんなの当たり前を支える仕事

大成ロテックは「道路造りは国造り」という機運が溢れていた昭和の高度経済成長期に、大成建設道路部が独立し、道路の建設工事を専門とする会社として出発しました。現在は、高速道路や空港の滑走路など道路・舗装工事の施工を軸に事業を拡大し、道路舗装の材料となるアスファルト合材の製造・販売、コンクリートやアスファルトなどの産業廃棄物処理事業など、道路建設を中心とした社会基盤の整備を行なっています。
いまや道路は平らで安全なのが当たり前。そんな「みんなの当たり前」を支える舗装の仕事について、技術本部の平川一成さんにお話を伺いました。

「次世代技術研究所」の所長に就任された平川さん
技術本部に在籍し、大成建設グループの新たな研究施設「次世代技術研究所」の所長に就任された平川さん

暮らしとともに進歩してきた舗装の歴史

アスファルト舗装
アスファルト舗装

編集部:普段あまり気に留めませんが、道路舗装にはどのような役割があるのでしょう。

平川さん:日本での道路舗装の歴史は、大正時代の自動車生産の本格化により進展し、1950年代の石油産業の発達によりアスファルトの安価供給が可能になったことで本格化しました。自動車が安全、快適に通行するためには路面が平らでないと激しく揺れますし、土や砂利がむき出しの道路を自動車が通行すると埃を巻き上げたり、雨天時にはぬかるんだりしてしまいます。そこで、通行時の快適性や安全性の向上、砂塵飛散防止、そして道路そのものの耐久性を確保するために道路舗装が行われています。

アスファルト浸水の様子
アスファルト浸水の様子

舗装の材料に種類はあるのでしょうか。
大きく、アスファルトとコンクリートの2種類があり、日本ではアスファルト舗装が9割以上を占めています。これは、アスファルトはコンクリートに比べて建設に要する時間が短いこと、修繕の方法が容易であることが理由です。

修繕が必要なんですね。
そうですね。日本では一般道路の舗装率が2000年に約76%に達しまして、それまでが舗装新設の時代だとすると、現在は維持修繕の第2段階の時代です。第1段階では、舗装の表層だけを修繕していましたが、現在は舗装の最基部である路盤、路床に損傷が進み、下層からの修繕が必要な箇所が多くなっています。

日本初の高速道路「名神高速道路」
工事事例|日本初の高速道路「名神高速道路」1965(昭和40)年開通。
会社設立4年目に、羽島・一宮間の舗装工事を担当

「瀬戸大橋共用部北舗装工事」
工事事例|「瀬戸大橋共用部北舗装工事」1988(昭和63)年開通

道路舗装の技術はどのように進歩してきたのでしょう。
舗装技術は時代の要請によって進歩してきました。舗装の劣化に対して、わだち掘れやひび割れに強い改質アスファルトを開発し、雨天時の事故を減らすために、雨水を路面下で排水できるポーラスアスファルトなどを開発、2000年代からはヒートアイランド対策などをはじめとする環境技術の開発を進めてきました。舗装技術の歴史はまさに耐久性・供用性・機能の進化の歴史であり、時代ごとに変化する社会課題、社会要請に応えて進化をし続けています。

「JR東京駅丸の内駅前広場」
工事事例|「JR東京駅丸の内駅前広場」2017(平成29)年。
街並みや景観に配慮した大型車両の走行も可能な石張り舗装

現在の舗装の課題はなんでしょう。
課題はいくつもありますが、中でも大きいのは「舗装の長寿命化」です。舗装の耐久性向上が図られれば、舗装の建設から維持管理まで舗装工事の頻度を減らすことができ、ライフサイクルでのコストとCO2の削減が期待されます。

新技術の社会実装を格段に加速させる「舗装のテストコース」

2025年春、完成した舗装のテストコース
2025年春、次世代技術実証センター(福島県田村市)に完成した舗装のテストコース

編集部:耐久性向上が道路舗装の課題ということですが、舗装の耐久性はどの程度あるのでしょう。

平川さん:アスファルト舗装で10年、コンクリート舗装で20年と設計寿命が設定されています。耐久性向上に関する舗装技術の開発は急がれていて、その開発された新しい舗装の耐久性が確認できれば道路に実装することができます。

舗装の耐久性はどのようにして確認するのでしょう。

共用されているアスファルト舗装において、舗装工事が行われる箇所の一部に新技術の舗装を試験的に施工し、アスファルト塗装であれば10年以上、コンクリート舗装であれば20年以上経過後に、破損・変状の有無やその程度を確認することが多いです。このため実道での耐久性の評価は、その試験施工場所の確保や、評価に要する期間が長いことなどが課題です。

「次世代技術研究所」の所長に就任された平川さん

実道でないと調べられないのに、実道に実装するのに耐久性が担保されていないといけないというのはジレンマですね。新技術を開発しても実装するまでに10年以上を要すると。そうです。国の研究機関でも舗装の耐久性を調べるための施設を保有していますが、使用予定が埋まっており容易には使用できない状態です。しかし今、私たちに迫られている社会課題は10年も先延ばしにできる猶予はすでにないのです。そうした長年の悩みを解決すべく、福島県田村市に大成建設グループが次世代技術実証センターを計画し、弊社がその主体となる施設「舗装のテストトラック」をセンター開設に先んじて完成させました。

「舗装評価路」について
1周が909mあり、そのうち直線区間を200m確保した実寸大の走路「舗装評価路」

具体的にどのようなことができるのでしょう。
実道に近い条件で無人の自動運転荷重車の昼夜連続走行が可能になります。これにより、舗装の10年相当の耐久性を“短期間で”評価できるようになります。

「短期間」とは、どのくらい?
日本の舗装道路は、大型車両の10年間の通過台数をもとに設計しているのですが、例えば国道レベルの10年間の通過台数分なら、舗装評価路を1年程度で通過させることができます。県道市道レベルであればわずか数週間〜数ヶ月で、10年後の舗装が眼前に出現することになります。

革命的な早さですね。どのようにして10年分を通過させるのでしょう。
無人の自動運転荷重車両5台を24時間連続で走行させます。これによって、実道に比べ短期間で多くの大型車を走行させることができます。

舗装評価路を試験運転中の自動運転荷重車両
舗装評価路を試験運転中の自動運転荷重車両

今回完成した「舗装のテストコース」にはどのような次世代の舗装技術が使われているのでしょう。舗装のテストコースを18区画にわけ、そのうちの9区画に異なる舗装技術を施しています。例えば、走行中の電気自動車に非接触で電力供給を行う「無線給電舗装システム」や、二酸化炭素を固定できる「植物由来の樹脂を使用した低炭素アスファルト混合物」、わだち掘れやひび割れの発生抑制効果がある「リフレクションクラック抑制舗装」、雨水の浸透などによる路盤の耐荷力低下を抑制して舗装の長寿命化を実現する「路盤強化工法」などです。

次世代道路舗装技術で社会課題に立ち向かう

「次世代技術研究所」の所長に就任された平川さん

編集部:「舗装のテストコース」は待ちに待った施設ですね。

平川さん:はい。耐久性の評価に要する時間を短縮して開発技術の社会実装が早まるのはもちろん、実証するフィールドがないためできなかった学術的な検証や実証ができるようになります。業界だけでなく社会に大きく貢献できる施設と考えています。

社会貢献という側面で「舗装」には何ができるでしょうか。
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に資する舗装技術の開発が一丁目一番地であると考えています。先ほども触れましたが、舗装の耐久性が向上すれば、工事頻度が減少し舗装工事でのCO2発生量が低減します。これまで道路建設業はCO2を排出するネガティブな業界イメージでしたが、道路は日本中に張り巡らされていますので、CO2を出さない、むしろ吸収、吸着できる技術を通じて道路舗装が社会へ貢献できる力は非常に大きいと考えています。

次世代舗装技術の開発・実装に舗装のテストコースは必須ですね。より早い社会実装には他にどのようなことが必要でしょう。
これまで舗装技術は進化を続けてきましたが、現代においては社会課題が多様化、複雑化しています。例えば自動運転のための道路はどうあるべきか?あるいは担い手不足の建設業界にあってICTやAIを活用してどのようにDXを進めるか等、異業種と連携することが重要となっています。今回、舗装のテストコースを建設するにあたって、自動運転車両は日野自動車と一緒に開発しました。異業種連携は夢を実現する可能性を秘めていると思います。

平川さん、ありがとうございました。
専門的なこともわかりやすくお話してくださった平川さん、ありがとうございました。

私たちの暮らしの当たり前には、多くの知恵と飽くなき情熱、そしてそこに地層のように積み上げられてきた時間があることを知りました。次世代技術センターが開設されたら、いずれ一般の方の見学も行う予定ということです。いつも注目せずに通行していた道路の舗装。次からはそこにかけられた熱量に思いを馳せながら通りたいものです。

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Interview Photo:Takanori Fujishiro