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「それ、私たちの仕事です」。駅前の広場から高速道路まで。特殊技術が生きる道路舗装の最前線【後編】
2022.10.04
文:くらしと街のコンシェルジュ編集部
私たちの目に同じように映る道路や舗装は、使われる場所や用途などによって多種多様の種類があり、またその進化の先には無限の可能性が広がっています。そんな道路と舗装の知られざる秘密と未来について、道路や公園など様々な場所の舗装を手掛ける大成ロテックの3人の研究室長に【前編】に続き話を聞きます。 【前編】はこちらから。
DXによって、道路から始まる街づくりを考える
2人目の室長は、先進技術研究室の城本政一。走行しながらの無線給電を可能にする電気自動車向けの道路舗装や、今はまだ人が操作している重機類をAIによって自動運転化する技術開発などに取り組んでいます。 「無線給電道路システムは、道路に送電電極と呼ばれる鉄板を埋め込み、その上を走行する電気自動車に電波を送ることで、非接触で給電を可能とする画期的なものです。重機類の自動運転化は、普及すればより安全で正確な施工ができるようになるもので、こちらも大きな期待がかけられています。
私の業務は、いわゆるDX化による新しいシステムの開発や業務の改善および効率化です。その効果は想像以上に大きくて、例えば以前は1時間もかかっていたような調査業務も、最新の機械を導入したことで、たった5分で済んでしまうことも。そうやってやり方を進化させていくことで、より確実に速く、かつ品質の高い製品やサービスを提供できるようにしていくことに、やりがいを感じています」
城本は、工業高等専門学校で土木の専門知識を学んだ後、大学時代から道路を専門とする研究室に身を置いてきたという、まさに道路のプロフェッショナル。「何もなかったところに道路ができ、人の暮らしの利便性や安全性を高めることに貢献できるのが嬉しいですね」と語ります。
城本政一 先進技術研究室長。「大成建設のキャッチコピーに『地図に残る仕事。』とありますが、やはり自分が手掛けた道路が人の役に立ち、風景の一部になっていくことは、とても嬉しいし、やりがいを感じます」
自分の手で、それまでなかったような新しい技術を開発してみたい、と話す城本は、道路のさらなる安全性を確保するために、劣化や破壊のメカニズムを研究しつつ、その点検調査を高精度で行えるような仕組みやツールをつくることにも情熱を傾けています。
「これまでも、電磁波レーダーを照射しながら道路の下の地中の様子を調査する特殊車両を用いてデータを蓄積してきましたが、今後は道路の劣化や破壊を未然に防ぎ、予測するための技術やツールを開発していきたい。目に見えない地中の様子を3Dレーダーの解析によって解き明かしていくことは、見えないからこそワクワクするんです」
これからは、親会社である大成建設と一緒に未来の道路づくりと街づくりを考えながら、利用する人たちをもっと幸せにするような道路をつくっていきたいと語ります。
「これまでなかった新しいアイディアとして、例えば心地よい香りのする道路とか、逆にゴミ置き場のような場所の路面には虫を寄せ付けない香りのする舗装とか、犯罪を抑制する道路、道案内用に矢印が出る道路、人が歩くと自然に灯りがつく道路……といった具合に、アイディアはいっぱいあるんです」
「これまでも、電磁波レーダーを照射しながら道路の下の地中の様子を調査する特殊車両を用いてデータを蓄積してきましたが、今後は道路の劣化や破壊を未然に防ぎ、予測するための技術やツールを開発していきたい。目に見えない地中の様子を3Dレーダーの解析によって解き明かしていくことは、見えないからこそワクワクするんです」
これからは、親会社である大成建設と一緒に未来の道路づくりと街づくりを考えながら、利用する人たちをもっと幸せにするような道路をつくっていきたいと語ります。
「これまでなかった新しいアイディアとして、例えば心地よい香りのする道路とか、逆にゴミ置き場のような場所の路面には虫を寄せ付けない香りのする舗装とか、犯罪を抑制する道路、道案内用に矢印が出る道路、人が歩くと自然に灯りがつく道路……といった具合に、アイディアはいっぱいあるんです」
城本の業務に欠かせないものが、路面性状測定車。車の上部に格納された器具からレーダーが照射されるという、特殊車両だ。
固定概念を取り払い、全く新しい道路の価値観をつくる
3人目は、技術研究所の新領域研究室長を務める平川一成。価値観や常識の変わる新たな時代に向けて、大成ロテックの持つ技術力を高めるために、その名のとおり新領域を広げる研究を指揮しています。
会社のテニスコートの敷地にて、植栽によるカーボンニュートラルの研究中。植樹の根元には(株)木風の樹木医がベトナムで開発したという、水筒サイズの竹製のブレスパイプが埋め込まれている。 一見美しく並んだグリーンが、道路や舗装開発に関連しているというのが面白い。
「新領域研究室ですので、既存の技術をブラッシュアップする代わりに、まったく新しい道路の価値観をつくろうという高い志が根底にあります。道路の舗装を、面ではなく立体空間としてとらえるというのも、その方向性のひとつです。これまでは道路を工期内に安全に施工することにとどまっていたところ、考えるフェーズを一段階上げ、誰がどのように使うのかの検証に始まり、使う人の視点や意見も活かし、さらなる可能性を見出そうという試みを行っています。
他には海外事業を手掛けていて、特に自分はもともとベトナム駐在を経験したこともあり、ベトナムにおける舗装や評価技術の普及、さらには、舗装と道路に限らない、より広範に及ぶ開発サポート事業に取り組んでいます」
他には海外事業を手掛けていて、特に自分はもともとベトナム駐在を経験したこともあり、ベトナムにおける舗装や評価技術の普及、さらには、舗装と道路に限らない、より広範に及ぶ開発サポート事業に取り組んでいます」
平川一成 新領域研究室長。常に愛用している、ポケットチーフが映えるスタイリッシュなスーツの着こなしと、取材陣をぐっと引き込む明朗快活なキャラクターが印象的。 日々の業務に欠かせないのは、美しく、かつきっちりと整理されたスケジュール帳。仕事はもちろん、自身の人間性を向上するために留意することなどが理路整然と明記。想像を超える新しい道路を生み出すための虎の巻だ。
固定概念に縛られない自由な発想を心掛け、同時に女性や若者、外国籍社員の意見も大切に扱い、来るべき未来のニーズに応えられるよう日々アンテナを張り巡らせていると話す平川。そのカバーする範囲も、道路だけでなく、例えばその周辺にある動植物の生態、さらにはもっと大きく環境にまで広げて考えるなど、とどまるところを知りません。
「もっともっと、国土全体に広がった道路網を生かすための新領域を広げていきたいですね。何しろ日本国内には延べ120万kmを超える道路があるのです。これを新たな観点のもとにうまく活用できれば、例えば太陽光発電によるクリーンなエネルギー供給やCO₂削減といった、環境に対するインパクトの大きな取り組みへとつなげられる可能性があるのです。皆さんも、これまでとはまったく違った視点から、身近にある道路の新たな可能性を一緒に考えてみませんか?」
「もっともっと、国土全体に広がった道路網を生かすための新領域を広げていきたいですね。何しろ日本国内には延べ120万kmを超える道路があるのです。これを新たな観点のもとにうまく活用できれば、例えば太陽光発電によるクリーンなエネルギー供給やCO₂削減といった、環境に対するインパクトの大きな取り組みへとつなげられる可能性があるのです。皆さんも、これまでとはまったく違った視点から、身近にある道路の新たな可能性を一緒に考えてみませんか?」
3人から伝わったのは、道路へのただならぬ愛情と仕事への誇り。実に楽しく、そして嬉しそうに自分たちの業務に対して語る姿が印象的。
3人の室長たちが思い描く、三者三様の道路の可能性と未来像。それは決して夢物語ではなく、実際に大成ロテック内で起きている変革のヴィジョンに他なりません。大成ロテックはこれからも、道路舗装の未来を切り拓くことによって、人々のためのより良い環境創造に取り組んでいきます。